境内の左側に建つ大きな仏像は銅造の阿弥陀如来坐像で、「九品寺大仏」の名で親しまれている。この坐像は、明暦3年(1657)の大火で亡くなった人々の菩提を弔うため、当寺第2世住職天誉が江戸市民から浄財を募って万治3年(1660)に造立した。蓮華座には、造立に協力した人々やその縁故者と思われる人物の戒名・法名などを刻む。作者の長谷川五郎兵衛尉益継は、万治から寛文年間(1658~1672)の頃に活躍した鋳物師のひとりで、遺品としては九品寺大仏を含め4点の仏像・梵鐘がある。
また、かつて九品寺には平安朝の学者小野篁の作と伝える沓履地蔵尊(木造念持仏)が安置されていたが、関東大震災で焼失した。平成3年(1991)、当寺では文献に拠って沓履地蔵尊をほぼ等身大の大きさに復元し、大仏の向い側に再建した。履物の街花川戸にふさわしく、沓を履いている珍しい地蔵菩薩像である。
投稿日:2018年11月11日 更新日:
九品大仏(台東区)
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