
一進一退の我慢比べを制したのは準々決勝で日本代表を退けた南アフリカだ。キック合戦、空中戦に密集戦。伝統国同士の対決にふさわしい肉弾戦にも、南アは辛抱強く体をぶつけ続けた。
3PGずつの9―9で迎えた後半17分、CTBデアレンデが、両チーム初のトライ。直後に追いつかれたものの、後半35分にポラードが決勝のPGを決め、難敵を振り切った。
日本戦でプレーヤー・オブ・ザ・マッチ(POM)に輝いたSHデクラークは攻守でチームを引っ張った。172センチと小さな体を感じさせない激しいタックルと、FWを巧みに動かすリードワークを見せた。
後半早々、デクラークは相手のキックボールを痛恨のノックオン。その直後に鋭いタックルを相手に浴びせたことをきっかけに、両チームの選手がヒートアップ。制止に入ったウェールズのひげ面の大男、198センチのボールと胸ぐらのつかみ合いにっているところが、大型スクリーンに映し出させるとスタジアムがどっと沸いた。
「小柄だからこそ、ラグビーができないと思っている子供や若い人に自信を与えている。ハードワークをすれば夢はかなう。ラグビーを通してそれを伝えたい。僕に何ができるかを子供たちに見てもらいたい」
ウェールズとの激闘を制し、3大会ぶりの世界一に王手。決勝の相手は、エディー・ジョーンズ監督(59)率いるイングランドだ。